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酔眼読書漂流記

読んだ本の紹介と感想などを、酒を片手にゴソゴソと綴っております

Kindle Paperwhite購入顛末

コラム

Amazonプライム会員になって、Kindleを割引価格で購入

ついにKindleを買うことを決意。今年の自分への誕生日プレゼントという口実で。

Amazonのプライム会員になると、Kindle代が4,000円オフになる。プライム会員の年会費が3,900円だからプラスマイナスゼロ。ならば、そのまま買うよりプライム会員になって買った方がお得ってことだ。見方を変えれば、プライム会員代はタダってことになる。

まずは会員登録。次にKindleの購入へ。と思ったところ、思わぬ落とし穴。なんとクーポンが使えない。Amazonのヘルプを見てみると、

クーポンコードが利用できるようになるまで3~4日程度かかる場合があります。クーポンコード適用時にエラーメッセージが表示される場合は、4日後に改めてお試しください

ってことらしい。ナンテコッタイ。たかが4日。されど4日。お預け食ってガックリ。

 一晩明けて

そんな状況が前の晩のこと。朝になって試しに確認したら使えるようになっていた。昨日の時点で、プライム会員代の処理が確定されてない状態だったので、それが原因だったか。支払いが確定次第使えるってことだろうか。ちなみに、プライム会員の無料お試し期間では、このクーポンは使えない。

 Kindleが来たけど、Wi-Fiに繋がらない

Kindleが届いた*1ので、セットアップ。しかし、KindleがAirMacに繋がらなずWi-Fiに接続できない。そもそも、AirMacをKindleが認識していない。ネットでいろいろ調べてみるものの、解決策が見当たらず、詰んだ。

AirMacの設定をいろいろ弄ってみる。結論から言うと、無線モードの問題のようだ。Kindleは2.4GHzのみを使っている。で、うちのAirMacは、5GHzのみのモードにしていた。だから、KindleからAirMacが見えていないってことだったらしい。モードを変更して、無事に接続完了。

 Kindleの使用感

今回選んだのは、Kindle PaperwhiteのWi-Fi版ホワイト、キャンペーン情報なし。上位2機種は金額的に折り合わないのでパス*2。安さで言えば無印のKindleが一番。その差は、解像度と内蔵ライトの有る無し。他の人のレビューを見ると決定的な差でもなさそう。しかし、安さにつられるのもなぁ、という変な見栄でPaperwhiteに決定。

3G付きのは最初から眼中になし。どこでも本をダウンロードできるってのが売りだけど、個人的には意味なし。で、プラス5,000円は高すぎる。

キャンペーン情報付きは、2,000円安い。最初は広告が出るくらいいいかと考えてたけど、レビューを見るとあまり評判がよろしくない。ここは正直迷ったんだけど、あとで後悔するのも嫌なので、キャンペーン情報は無しで。

色は、迷った。好みから言えば黒。歴代のiPhoneはすべて黒。でも、iPad Air2を白にしてみたら、これがなかなかいい。と言うことで、Kindleも白を選択。

しかし、実物のKindleを見て思った以上に小さい。写真はiPad Air2と並べたところ。iPad miniよりも一回り小さいか。文庫本よりは、ちょっとだけ大きい。重さも文庫本と思えば、それ以上でも以下でもない。

質感がちょいとチープかなぁ。実用上は何の問題もないけど、細部の仕上げの精度はそれなりな感じ。

見た目は、まさに紙の印刷物のよう。これ以前は、iPhoneやiPadで、Kindleアプリを使っていた。そのときには気にならなかったけど、比べてみるとKindleの方が目に優しい感じはある。何より、読書しかできないってことが逆にいい。ただし、コミックなんかは、画面が、コミック本と比べて、小さい点もあって、読みやすいとは言えないかも。白黒なので、カラーなものやビジュアル重視なものもKindleには向かないか。

動作速度は速いとは言えない。ページの切り替えに関しては、気にはならない。でも、気に入った文章なんか、メモやハイライトしたい場合、その動作が遅い。メニューが出るのが一呼吸待つ感じ。ここは少々不満な点。

ハイライトだけど、他の人がハイライトした部分を表示するようにできる。どんなところに共感したのかわかるこれって地味に面白い機能だと思う。

肝心の読書するってことに対する性能だけど、これがなかなかに快適。片手だけで本が読めるってのは、どんな状況、姿勢でも読めるってことで、これは紙の本に対する大きな利点だと思う。「読む」ってことだけで言えば、圧倒的にKindleは便利だ。

それとは別に、本は活字データだけじゃなく装丁も引っくるめて本なんだ、って気分は今もある。本棚に並んだ本を眺めるのは楽しいってね。利便性だけを求めるのも、一抹の寂しさがあるのも確か。それでも、と思えるのは、歳とって物の所有欲がなくなったってことが大きいのかも。もう身の回りには、必要最小限のものしか置いておきたくない。

そんなわけで、Kindle Paperwhiteは、新しい読書生活の中心となりそう。これ買ってから、立て続けに本も買ってしまった。自宅にいながら、本が買えてしまうってのは便利だけど、危険でもある。

Kindle Paperwhite Wi-Fi、ブラック

Kindle Paperwhite Wi-Fi、ブラック

*1:早速プライム会員特典のお届け日時指定を使った

*2:ちなみに、この2機種だとクーポンの適用外

鍵の掛かった男/有栖川有栖

有栖川有栖

同業の作家でありながら、畑違いで面識のなかった影浦浪子から有栖川有栖へ突然の相談を持ちかけられます。それは、大阪中之島にある銀星ホテルで亡くなった梨田稔についてでした。彼は、自室で首をつった状態で見つかり、警察は自殺と判断しました。梨田と面識のあった影浦には、彼が自殺したとはどうしても考えられず、この件について有栖とそして火村英夫に再調査を依頼してきたのでした。果たして彼の死は自殺か他殺か。

調査はまず、梨田は何者だったかを探るところから始まります。彼は5年ほど前から銀星ホテルのスイートルームに住み続けていましたが、周りの人々に自分のことはほとんど語らず、閉ざされた過去はまさに「鍵の掛かった男」でした。

前半は、火村が大学入試で忙しいため、有栖独りで調査に当たります。梨田と面識があった数少ない人々からの些細な証言を頼りに、梨田の人生を少しずつ探っていきます。このあたり、ハードボイルドに近いものがあって、いつもと違うパターンが新鮮です。探偵有栖もなかなか様になっています。彼の鍵の掛かった心の奥に仕舞ってあったものは何だったのか。有栖の調査で浮かび上がるのは、ひとりの男の贖罪と葛藤の物語。残酷で悲しい結末ですが、希望も見える結末は、読み終えて暖かな気持ちにさせてくれます。

さて、これから先若干ネタバレになるので、未読の方はお気をつけください。

梨田の死は自殺か他殺かってことですが、物語の主題が梨田の過去にあるのならば、意外と実は自殺だったなんてこともありかな、なんてことを思いながら読んでいました。犯人はいたわけですけど、梨田の死に関する謎は副次的なものですね。誰が犯人でも、という気はします。

それでも、今回の犯人は火村にして「私がこれまで出会った中でも屈指のタフな敵」と言わしめたほど。なにせ、土壇場になるまで自殺か他殺か迷っていたんですから。しかし、犯人がとった些細な行動からその存在を見抜く火村の推理は、少々ややこしいし唯一無二に犯人を指し示す証拠ではないとはいえ、見事なロジックです。

犯行の動機を含め、犯人の考えはよくわからなくとも、実際に起こりうるかもしれないのが怖い。人は誰しも少なからず悪意は持っているでしょう。それが最大限に発揮されてしまうとどうなるのか。皮肉なことにこの犯人は、自分の悪意のために墓穴を掘る形になりました。犯人の最後の独白もわかる気がします。やはり人は悪意と善意の間で揺れているものなんでしょうか。

以下は余談として。今回の舞台設定は2015年。ついに(?)火村はスマホを使ってたりします。火村・有栖コンビのデビュー作が1992年のこと。その当時はいわゆるガラケーでさえ珍しいものだったのを思えば、二人が歳を取らないってこともあって不思議な感覚ですね。時は流れているんだという。作中有栖がスマホに関して「たちまち過去の遺物になりそうに思えて小説で書きにくい」とぼやいていますが、これって著者のぼやきでもあるんでしょうね。

時は流れているといえば、この物語では梨田の来歴を調べていく過程で、過去の事件事故などが取り上げられます。阪神淡路大震災から20年。日航機墜落事故からは30年。改めてその年月を意識すると感慨深いものがあります。目に見えるのは「今」という瞬間しかありません。過ぎた時間というものは何なんでしょう。見えないその時の集積が人を作り、それに縛られる。梨田稔は過去の呪縛に強く影響されてしまったんでしょうね。

さて、作中でも都度取り上げられてますが、もう一人「鍵のかかった男」がいます。誰あろう火村英夫。彼の心の鍵が開くことはこの先あるのでしょうか。

鍵の掛かった男

鍵の掛かった男

満願/米澤穂信

米澤穂信

米澤穂信を読むのは、「追想五断章」以来。その時も感じたが、なんとも枯れた文を書く人である。知らず昭和時代の作家のもの、と言われれば信じそうだ。

どれもビターなテイストの6編。謎解きのおもしろさと言うよりも、真相が分かることで見えてくる人の持つ恐ろしさ、虚しさ、儚さ。そんなやるせなさを味わうのが面白さであり魅力なのかもしれない。

夜警

殉職した新人警察官の川藤。彼はなぜ死ななければならなかったのか。心の弱さってことを考えさせられる一編。あるいは狡さか。川藤のとった行動は、誰にでも起き得る心の隙じゃないか。

死人宿

突如姿を消した佐和子の居場所は、多くの自殺者が訪れることから死人宿と渾名される温泉宿。二年ぶりに再会した佐和子は私に、今夜の客の中の誰かが書いたと思われる遺書を見せて言った。この人を見つけて救えないだろうかと。二年前に佐和子の窮地を救うことができなかった贖罪の念から自殺を阻止しようとするが。

人を救うなんてことは、所詮自己満足でしかないのか。そもそも本当に人を救うなんてことができるのか。 なんともやるせなく皮肉なラストが待ち受ける一編。

柘榴

夫がほとんど家に寄りつかず、女手一つで二人の娘、夕子と月子を育ててきたさおり。夕子が高校受験を控えた年、離婚を決意する。離婚そのものは問題なかったが、親権を争うことに。そこで、夕子と月子がとった意外な行動。

いやはや、なんともアヤシイお話である。言うなれば魔性ってことになるんだろうか。さおりと夕子の二人の視線から描かれているのが最後に効果的。母親側から見た事実と、娘が想う真実。暗澹たる気分にさせるお話である。

万灯

この中では一番のお気に入り。

「私は裁かれている」という独白で物語は始まる。その言葉の主は、バングラディシュで天然ガスの開発に携わる伊丹。やがて、彼が開発を成功させるために二人の人間を殺害したことが明かされる。何もかもうまくいったかに見えた矢先に訪れた「裁き」の正体とは。

なんとも上手く、そしてゾッとする話である。いわゆる倒叙モノの範疇で、最後に意外な証拠が決め手になる。その証拠が残酷なのだ。それはまさに裁きそのもの。辞して待てば破滅、かもしれない。しかし、助けを求めれば確実に破滅しかない。まさに神のみぞ知る、なのだ。ああ、やだやだ。たとえ犯罪を起こしてもこんな状況には陥りたくない。

関守

伊豆のある峠にまつわる都市伝説の取材に訪れたフリーライター身に起こる恐怖。まぁ、怪談話であって、それ以下でも以上でもない、かな。途中でおおよその結末は見えてくると想う。しかし、妙なリアリティを持って心に引っかかってくるのは、著者の巧さか。それにしても、やはり世の中で恐ろしいものは人間なのである。

満願

学生時代に世話になった下宿先の鵜川妙子が起こした殺人事件。弁護士として独り立ちした私は、彼女の弁護を引き受ける。

彼女はなぜ人を殺めたのか。人は見かけじゃわからないと言うけど、その胸のうちに秘められた想いは他人には伺いしれない。ここで言う満願とは何か。事件の本当の姿が見えた瞬間、そのことに気づく。主人公の目を通して描かれた妙子像が一変する瞬間でもある。人の本当の恐ろしさってのは、こういうところに隠れているものだ。

満願

満願