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酔眼読書漂流記

読んだ本の紹介と感想などを、酒を片手にゴソゴソと綴っております

「○○○○○○○○殺人事件」/早坂吝

第50回メフィスト賞受賞作。冒頭に読者への挑戦状がある。普通ここでは、著者からの「誰が犯人か当ててみたまえ」的なものになるのだが、ここではこの本のタイトルを当てろと言う風変わりなものになっている。◯が並んでいるタイトルは伏せ字で、ここになんとうい言葉が入るのか、ということである。前代未聞と言うよりも、そこはかとなく漂うイロモノ感に、不安と期待が入り混じって読み始めてみると。

孤島に集まる男女。迎える主人は曰くありげな仮面の男。やがて起きる惨劇。そして密室。舞台装置は古式ゆかしいミステリである。しかし、やはりバカミスであることは間違いない。序盤こそは普通に進む物語も、島に着いた途端訳の分からぬ「南国モード」によって語り部である主人公の性格が一変。軽いノリで進んでいく展開に、この先真っ当なオチでは終わらないだろうと確信。そして、解決編で示される驚きは、衝撃ではなく笑撃。

しかし、その解決編で示されるある事実から導き出された犯人特定の過程はよくできている。この事実こそが本書の一番の肝。まさに一発芸的なネタなんだけど、その事がタイトル当てリンクしているあたりもうまい。そして、このタイトル当てという趣向が、普通なら不自然になってしまうであろうこの事実をうまく隠しているようで、なかなか侮れない。タイトル当ては、実は著者のミスディレクションなんじゃないかと勘ぐる次第。

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)