酔眼読書漂流記

読んだ本の紹介と感想などを、酒を片手にゴソゴソと綴っております

深夜プラス1/ギャビン・ライアル

第二次大戦中は、イギリスの情報部に属し、フランスのレジスタンスと共に戦っていた”カントン”ことルイス・ケイン。現在はビジネス・エイジェント註1として活動している。彼の新しい仕事の依頼はひとりの男を、ブルターニュからリヒテンシュタインまで送り届…

王城の護衛者/司馬遼太郎

純情一途な男の生きざまー 先日、NHK大河ドラマの「花神」総集編を見てから、司馬熱が上がる。前から気になっていた「鬼謀の人」と「英雄児」が収録されている本書を読むことに。それぞれ大河ドラマの原作「花神」と「峠」の元になった短編小説。 ダイジェス…

こころ/夏目漱石

高校の授業ではいわばサビの部分だけで、全体を読むのはこれが初めてか。知っていた範囲だと色恋沙汰の事件、という側面だけど、もっと深い部分がある。クライマックスに至るまでの伏線。先生とはどんな人物なのか。人を信じることと裏切ること。そして、明…

高原のフーダニット/有栖川有栖

オノコロ島ラプソディ 冒頭で、叙述トリックに関する件があり、当然本編も叙述トリックでくるんだろうな、と思うわけです。しかしながら、ネタバレしてその上でトリックを仕掛けるというのは、相当難しいこと。それをやってみせたのはお見事。と言いたいとこ…

ABC殺人事件/アガサ・クリスティ

ポアロの元へ送られる犯罪を仄めかすの手紙が届きます。そして、その予告通り繰り返される兇行。被害者に共通点を見出すことが出来ず、不明な犯人の動機。ひとつ解っているのは、Aの頭文字の地名で、Aの頭文字の人間が殺され、B、Cと続いていくこと。死体の…

月光ゲーム/有栖川有栖

閉じた空間での連続殺人事件。登場人物の中に必ず犯人はいる。手掛りはすべて読者の前に提示されている。そして、読者への挑戦状。もうこれでもかってぐらいのコテコテの本格物なのだ。でも、それだけではない。物語自体もとても素敵な(と言うとちょっと語…

幽霊人命救助隊/高野和明

読みながら大興奮、大満足。天国に行くために100人の命を助けなければならない幽霊4人の救助隊の活躍はスリリングでいて時にユーモラス、そして涙を誘う。タイムリミットの49日は彼等のとってもあっという間だろうけど、こっちにとってもあっという間の一気…

生ける屍の死/山口雅也

たとえ死者が甦るなんてヘンテコなシチュエーションでも、これは間違いなく本格パワー全開のミステリだ。密室トリックや毒殺トリックといった本格ミステリとしてのガジェットをこれでもかと詰め込んだ贅沢な一作。 殺しても死者が蘇ってしまうという状況下で…

だれもがポオを愛していた/平石貴樹

元々は集英社から1985年に刊行されたもの。文庫本の有栖川有栖氏の解説に「新本格前夜」とあるように、時代の狭間に登場した作品。また、著者の平石貴樹氏も寡作なので知名度もそれほどではないのでしょうか。 しかし、最初に言っておきたいのは本格ミステリ…

笑う警官/マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー

これは面白い。名探偵が登場して謎を解くのではなく、刑事ドラマです。頭脳よりも足で解決するって感じでしょうか。マルティン・ベックをはじめとした個性豊かな刑事達の動きが見事に描かれています。 はじめて読むのにしっかりと各キャラクター達に感情移入…

三つの棺/ジョン・ディクスン・カー

やはりカーは凄い、と思わせるのに十分な一作。トリックに対するパワーが圧倒的。たとえ少々強引な力技でも、不可能状況を成立させてしまうのはお見事というしかない。ミステリ好きにはたまらない、読んでワクワクさせてくれる。 本作には密室からの人間消失…

本陣殺人事件/横溝正史

記念すべき金田一耕助デビュー作 そして国産の、というより密室トリックの白眉といって過言ではない作品。そこから醸し出される雰囲気が素晴らしい。物語の中にしっかりと溶け込んでいるのだ。まさに純和風。 事件当夜に鳴り響く琴の音色のシーンの恐ろしさ…

Kindle Paperwhite購入顛末

Amazonプライム会員になって、Kindleを割引価格で購入 ついにKindleを買うことを決意。今年の自分への誕生日プレゼントという口実で。 Amazonのプライム会員になると、Kindle代が4,000円オフになる。プライム会員の年会費が3,900円だからプラスマイナスゼロ…

鍵の掛かった男/有栖川有栖

同業の作家でありながら、畑違いで面識のなかった影浦浪子から有栖川有栖へ突然の相談を持ちかけられます。それは、大阪中之島にある銀星ホテルで亡くなった梨田稔についてでした。彼は、自室で首をつった状態で見つかり、警察は自殺と判断しました。梨田と…

満願/米澤穂信

米澤穂信を読むのは、「追想五断章」以来。その時も感じたが、なんとも枯れた文を書く人である。知らず昭和時代の作家のもの、と言われれば信じそうだ。 どれもビターなテイストの6編。謎解きのおもしろさと言うよりも、真相が分かることで見えてくる人の持…

「○○○○○○○○殺人事件」/早坂吝

第50回メフィスト賞受賞作。冒頭に読者への挑戦状がある。普通ここでは、著者からの「誰が犯人か当ててみたまえ」的なものになるのだが、ここではこの本のタイトルを当てろと言う風変わりなものになっている。◯が並んでいるタイトルは伏せ字で、ここになんと…

怪しい店/有栖川有栖

「店」を題材に火村とアリスのコンビが活躍する短編五編。 古物の魔 骨董品屋の店主が殺害される事件。この事件で興味を引くのはアリバイについてである。ああ、そういう使い方もあるのかと感心する。そして、モノの価値というものも考えさせられる。某番組…

その女アレックス/ピエール・ルメートル

なかなか高評価の一冊。いろいろなところでベストテンの1位に輝いている。 アレックスが何者かに誘拐監禁されるところから物語は始まる。殺意を持った誘拐犯に怯える彼女と、捜査に当たるパリ警視庁警部カミーユの二つの視点からの描写で話は進んでいく。何…

ハルさん/藤野恵美

父であるハルさんと娘のふうちゃん。母親の瑠璃子はふうちゃんが生まれて直ぐに亡くなり、以来親子ふたりだけの生活に。今日は、ふうちゃんの結婚式。式の当日に、ハルさんはふうちゃんとの思い出を振り返ります。 日常の謎系のミステリです。けれど、ミステ…

菩提樹荘の殺人/有栖川有栖

「若さ」をモチーフにした4つの短編。 アポロンのナイフ 東京で通り魔殺人が発生。犯人は高校生なのだが、警察の手を逃れ行方不明に。そんな折、大阪でも高校生の男女ふたりが殺害される事件が。通り魔殺人との関連は? 少年犯罪を扱った一編。そして、被害…

約束の森/沢木冬吾

あらすじ 元警視庁公安部の奥野侑也は、妻を何者かに殺害され、今はその喪失感を抱えたまま人知れず孤独に暮らしていた。そんな折り、かつての上司から仕事の話が持ち込まれる。東京から600キロほど北にある「モーターモウテル・光芒」の従業員として働かな…

首折り男のための協奏曲/伊坂幸太郎

久しぶりの伊坂幸太郎作品です。もともとは、バラバラに発表された7つの短編。それが一冊にまとまり、並べてみると、あら不思議。連作短編集として仕上がっています。どれも独立したお話なんですが、微妙にリンクして、全体でひとつの物語を紡ぎだす。このさ…

旅に出るゴトゴト揺られて本と酒/椎名誠

もともとは2001年に本の雑誌社から『日焼け読書の旅かばん』というタイトルで出版されたもの。『本の雑誌』の連載をまとめたものですね。それが筑摩書房より改題され文庫化となりました。ちなみに、椎名さんの筑摩書房からの本はこれが初めてとのことです。…