酔眼読書漂流記

読んだ本の紹介と感想などを、酒を片手にゴソゴソと綴っております

高原のフーダニット/有栖川有栖

オノコロ島ラプソディ

冒頭で、叙述トリックに関する件があり、当然本編も叙述トリックでくるんだろうな、と思うわけです。しかしながら、ネタバレしてその上でトリックを仕掛けるというのは、相当難しいこと。それをやってみせたのはお見事。と言いたいところだが、かならずしも成功しているとは言い難い。うーむ、反則すれすれじゃないの。その点はおいておいても、事件の謎の興味を逸らさずに読ませる手腕はさすがで上手い。

ミステリ夢十夜

アリスが見た夢が語られるショートショート。ミステリっぽいものもあるが、ミステリじゃない。夢と言うこともあるのか、へんてこな話で明確なオチがないものもある。それでも妙に面白い。とらえどころのない感じが、想像をかき立てられるというか。この中でお気に入りは第八夜。殺人現場で、早々に犯人がわかる火村。これで事件は解決かと思われるが、思いもよらない出来事が起こって…。最後の一文に大笑いした。アリスが殺人事件の容疑者になる第四夜の、自虐的な結末も笑っちゃいけないが笑える。いや、ちょっと切ないか。

高原のラプソディー

これはちょちと期待はずれ。帯には「徹底したロジックで犯人に迫る」とあるが、犯人特定の決め手にひねりがないくて、面白みに欠ける。あくまでも蓋然性があるだけ。必然性が低い。どうも単調な一編。

それでも、読んで楽しいのは確か。どうも世間じゃこのシリーズはミステリよりも、日村アリスコンビ目当てで読んでると言った風もあるようだが、それも頷ける。何を隠そう私も二人の活躍が楽しみで読んでるところがある。が、もっと濃いミステリを読みたいと思うわけでもありますよ。